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私の名前はココ



外は雨。
7月の雨は、私の柔らかい黒毛をしっとりと湿らす。

決して暑いわけではないが、私の住処に重たく湿った風を運んでくる。
私は、ココ。この名前を私は気にっている。
相方の名前は、ナッツ。飼い主は「ココとナッツ」で「ココナッツ」と洒落でつけたつもりだろうが、私はナッツが苦手。決して嫌いなわけではない。ただ、気が合わないだけ。

私に比べてナッツは、甘え上手でわがまま。人の話はまるで聞かないし、諦めも悪い。いつも飼い主をハラハラさせている。それなのに、甘え上手だから可愛がられる。雄猫の分際で雌猫の私を先置いて我先に甘える姿は、実に猫らしい。

私は、そんなナッツが羨ましい反面、妬ましい。

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雨が、シトシト降る梅雨の日のお昼前。
ナッツは、少しの雨なら気にしないで遊びに行く。雄はバカだ。風邪を引いたらどうするつもりだろう。私は、住処のカフェで外を眺めて時間を過ごす。

雨の日の誰もいないカフェ。
私だけの特別な時間。私が人間嫌いなのを知っているのに無理やりじゃれてくるお客もいない。気分を逆なでするような暑さもなく、心休まる特別な時間。

それでも、
ナッツがいないと思うと少し寂しい。

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